10月4日に放送のNHK「きょうの健康」にて
腰部脊柱管狭窄の症状と治療方法!脚の痛みやしびれ、尿トラブルが起きたら要注意という情報を紹介していました
「腰痛徹底解説」というテーマで4日間放送していました
2回目の今回は「腰部脊柱管狭窄(ようぶせきちゅうかんきょうさく)」という聞きなれない腰の病気でした
実際に「腰部脊柱管狭窄」になって手術を受けることになってしまったAさんのエピソードをまずは紹介します
70歳の男性Aさんは10年前に退職してからは好きな読書などをして自宅で過ごすようになりました
5年ほど前から歩いた時に腰痛と両足のしびれを感じるようになったのですが、家で過ごす分には特に不便を感じないためしばらく様子を見る事にしました
ところがAさんは夜中に尿意を感じて何度も目を覚ます異変が起こるように・・・
そして急に強い尿意を感じ尿もれを起こすようになったためAさんは医療機関を受診
すると腰部脊柱管狭窄と診断されます、手術を受ける事になりました
「まさか手術なんて」とAさんは戸惑いました
「腰部脊柱管狭窄」とはいったいどんな病気?
腰部脊柱管狭窄は腰の異常が原因で特に脚の痛みやしびれが起きたり場合によっては排尿障害を起こす病気
腰部脊柱管狭窄にはタイプがあり、薬によって治りやすいものや早期に手術を考えなくてはいけないものなど傾向が分かれているそうです
そのため早い段階で自分がどのタイプなのか見極める必要があります
番組で「腰部脊柱管狭窄」について詳しい解説をしてくれたのは福島県立医科大学教授の紺野愼一先生でした
紺野愼一先生に番組では「腰部脊柱管狭窄」についての基礎知識はまずは確認していました
・腰部脊柱管狭窄の患者さんどのぐらいいるんでしょうか?
紺野医師「日本整形外科学会の報告によりますと約350万人いるといわれています
かなり多い腰痛の原因の疾患と言えます」
・先ほどの男性のケースでは年齢が70歳、年を取ると起こりやすくなるんですか?
紺野医師「そうです。多くは加齢現象に伴ってですね早い人は40歳代後半から出まして50歳台60歳台となるにつれて頻度は高くなってまいります
腰部脊柱管狭窄はロコモティブ・シンドロームといいまして筋肉や骨・関節などの運動機能が低下する病気ですね
歩くあるいは立つという機能が低下する病気の一つです
要は生活活動が不自由になるだけではなくて進行しますと介護が必要になると
そういうリスクが高くなる原因の一つと言えます」
続いて「腰部脊柱管狭窄」になると腰がどんな状態になってしまうのかを番組では次のように解説していました
私たちの姿勢や動作を支えているのが背骨の腰の部分、腰椎です
腰椎は5つの椎骨(ついこつ)という骨から成り立っています
この椎骨を上から見てみると後ろ側に穴が開いています
http://www.lumbar.jp/kyousakusyou.htm
これが脊柱管でこの中を脳から下半身へとつながる神経の束が通っています
椎骨が加齢とともに変形したり脊柱管の内側にあるじん帯が分厚くなったりする事によって、脊柱管が狭くなり中を通る神経を圧迫する事で腰痛や下半身のしびれなどが起こるのが腰部脊柱管狭窄です
Aさんは両足にしびれを感じていましたが、腰痛だけでなくて下半身の痛みやしびれも起こってしまうのはなぜなのか?紺野医師は次のように解説します
紺野医師「腰痛は必ず起こるとは限らないんですね。でも必ず起きるのは脚の症状ですね
下肢のしびれや痛みが歩くと非常に強くなるというのが大きな特徴です。
歩く事によって脚の痛みやしびれが強くなるんですが、少し前かがみで休むと楽になる、また歩けるようになると・・・
こういった症状を間欠跛行(かんけつはこう)といいます
この間欠跛行が腰部脊柱管狭窄に一番特徴的な症状と言えます。約70%の方に出現するといわれています」
なぜ腰の異常が脚のほうへいってしまうのでしょうか?
紺野医師「腰を反りますとじん帯が少し出っ張るんですね、神経の方に向かって
そうしますと神経が圧迫されますのでそれで症状が強くなると
(前かがみの体制になっている画像をみて前かがみになりますとじん帯が少し伸びて神経の通り道が広くなるんですね
そうしますと症状も楽になるとそういう事になります」
続いてどういった症状が出たら腰部脊柱管狭窄なのかについて番組は紹介しました
腰部脊柱管狭窄の症状チェック
番組では腰部脊柱管狭窄のチェック項目を以下の4つと紹介しました
①太ももから ふくらはぎや すねにかけてしびれや痛みがある
②しびれや痛みはしばらく歩くと強くなり休むと楽になる
③しばらく立っているだけでしびれたり痛くなったりする
④前かがみになるとしびれや痛みは楽になる
このチェック項目はは実際の臨床で使われている診断サポートツールだと紹介されました
全て当てはまる場合は腰部脊柱管狭窄と診断する事ができます
実際には全てに該当しなくても当てはまる項目が多ければ多いほど腰部脊柱管狭窄の可能性は高くなります
この問診票だけではなくて実際に診察をして、MRIなどの画像診断も行って確定診断をするという手順になっていくそうです
このチェックで一つでも当てはまる腰部脊柱管狭窄の可能性がある方は続いて次の6項目のチェックも試してみましょう
⑤しびれはあるが痛みはない
⑥しびれや痛みが脚の両側にある
⑦両足の裏側にしびれがある
⑧お尻の周りにしびれが出る
⑨お尻の周りにほてりが出る
⑩歩くと尿が出そうになる
6つの項目のうち2つ以上当てはまる場合は馬尾型の可能性があると言います
馬尾というのは両足に神経を出していて、脚だけではなくてお尻にも神経を出しています
そしてぼうこうの機能もコントロールしているので馬尾が障害されますと両側の脚にしびれが出たりします
さらに進行すると尿が漏れたり頻尿になるという ぼうこう障害が起きてしまいます
①~④で1つでも当てはまって⑤~⑩で1つも当てはまらない場合はもう一つのタイプ神経根型とになります
片側の座骨神経痛、脚の痛みとして症状が出てくる場合が多いそうです
馬尾型は主にしびれ、神経根型は痛みというのが特徴ですね
紺野先生は患者さんがどのように症状を訴えることが多いかを次のように解説しました
紺野医師「馬尾型のしびれは砂の上を歩くような感じですとか、あるいは脚がジンジンするビリビリするというしびれ、両足のしびれを訴えます。
神経根型の痛みの場合はズキンズキン痛むような、あるいは刺すような痛みと表現する方が多いです
脚の痛みやしびれが1週間以上続くようでしたら早めに整形外科を受診したほうがいいです」
続いてAさんが手術するまでに至ってしまった腰部脊柱管狭窄の治療方法について解説します
腰部脊柱管狭窄の治療方法、まずは飲み薬から
腰部脊柱管狭窄と診断されたら多くの場合まずは飲み薬による治療を行います
第一選択薬となるのが神経への血流を改善するプロスタグランジンE1
そのほか馬尾型のしびれに対してはプレガバリン(神経障害性疼痛治療薬)
神経根型の痛みに対しては非ステロイド型消炎鎮痛薬などが使われる事があるそうです
プロスタグランジンE1が出る前は手術以外の治療法の選択肢が少なかったそうですが、上のようないろんな薬物が出てきて痛みやしびれをコントロールするようになってきました
まずは薬物療法で治療をしていき、神経根型の場合3か月程度でよくなる人が多いという事も分かっているので薬で治療効果を見るのが望ましいとのこと
経根型の場合は手術を行わなければならないケースは少ないそうです
そして馬尾型の場合も薬によってしびれがある程度コントロールできる可能性があるため、すぐに手術とより薬を使って治すのが好ましいそうです
馬尾型の場合は数ヶ月間、薬の治療を続けても良くならない場合に手術を考える必要があるとのことでした
長期間にわたって馬尾の圧迫が続くと神経の障害が元に戻らず、後遺症や将来的に寝たきりになってしまう可能性もあるんですね
薬だけでダラダラと治療するのではなくて症状がよくならない場合は手術も考えて治療を行うというのが良いと医師は語っていました
自分で出来る腰部脊柱管狭窄の対処方法
薬や手術以外に腰部脊柱管狭窄を自分で対処できる方法として「自転車こぎ(前かがみで)」が最も勧める運動療法だと紹介されます
自転車だとと少し腰を前かがみの状態で脚を動かす事ができるため、痛みやしびれを感じないで運動ができるメリットがあります
無理をしなければ毎日でも行えると同時に脚の筋肉を維持ができるとして、高齢者でも安全にできる運動としておすすめのようです
固定式自転車と薬物療法だけで症状が非常に良くなった患者もいるとのことでした