2016年9月27日に放送された「たけしの健康エンターテインメント!みんなの家庭の医学」にて
10年も膀胱炎に悩まされた女性を救ったベストドクター!原因は膀胱炎ではなく「大腸憩室炎」という稀な病気だったエピソードについて紹介していました
医師たちが自らの命を託したいと願い選ばれた名医中の名医がいることをご存じですか?
それこそが「ベストドクター」アメリカのとある企業がヨーロッパ北米アジアなど世界中の医師に向けて行っているこんなアンケート調査によって選ばれるものです
「あなたやあなたの家族が病気になったら、どの医師に診察や治療をお願いしますか?」と世界中の医師たちが想定し、託したいと選ばれた名医がベストドクターとなります
全世界に医師は約920万人いてベストドクターは0.5%しかいません。日本でも30万人いる医師の内わずか2%しかいないという狭き門なんです
番組では2016年に最新のベストドクターに選ばれた医師に徹底取材
- どんな薬を飲んでも止まらない咳に苦しんだ女性
- 10年間も尿トラブルに襲われた女性
が如何にしてベストドクターに救われたのか?その驚くべき診断に迫っていました
10年間薬を飲み続けても治らない残尿感の症例を解決したベストドクターの話を実際のエピソードと共に紹介します
【加齢による残尿感だと放置していたら】
滋賀県東近江市で暮らす主婦 上島美智子さん(63歳・仮名)の苦悩の始まりは年を取れば多くの人が体験するちょっとした尿トラブルでした
年のせい、誰にでもあることと思い込んでいた症状の陰に恐ろしい病が隠れ10年間も身を蝕み続けたのです
最初に異変が起きたのは今から10年前のこと
山歩きに夫婦で参加した時の事、この先トイレがないと困るからと念のためトイレにいった上島さん
ところがちょっとした残尿感が・・・用を足したばかりなのにまだ出し切っていない感じがしたのです
そこでもう一度トイレに戻ったのですが残尿感はあるのに全く出てきません
すっきりはしないものの我慢しようと思えばできるレベル。夫を待たせてはと思いひとまず先に進むことにしました
その1時間後、再びトイレに向かった上島さん。用を足すには足したのですが、さっきと同じような残尿感を感じたのです
下腹部に力を入れてみてもやっぱり尿はほとんど出ませんでした
不安に感じたものの、このときはきっと年のせいと自分を納得させたのです
しかしその残尿感の正体は意外な形で上島さんは知る事となります
【膀胱炎と診断されて薬で残尿感は消えた】
それは毎年受けていた健康診断の結果が届いたときでした
今まで一度も問題がなかった尿検査で異常が発見され再検査となったのです
すぐに近所の内科を訪れると「尿に白血球が増えていますね、膀胱炎でしょう」と診断されます
膀胱炎とは膀胱に細菌が入ることで炎症が起き排尿時の痛みや残尿感などの症状をもたらす病です
炎症が尿道で広がると痛みとして現れ、膀胱の中で広がると尿意をつかさどる神経を誤作動させ尿がたまっていないのにおしっこをしたくなる残尿感を生じさせるといわれています
上島さんの場合炎症が膀胱内で広がり残尿感だけを引き起こしていたと考えられました
そこで医師からは5日分の抗生物質が処方され膀胱内の細菌を死滅させることになったのです
すると薬が効いたのか日常化していた残尿感は嘘のように消えました
「病院にすぐに言っておけばよかったんだ」とすっかり安心した上島さん
しかし上島さんを襲った膀胱炎はただの膀胱炎とは原因が全く違う厄介でたちの悪い危険な膀胱炎だったのです
【治ったと思った残尿感は痛みを伴うようになり・・・】
再び上島さんを悪夢が襲うのは残尿感の症状が治って1ヶ月ほどたった時でした
用を足した後にまたあの残尿感に襲われます。しかもどれだけ出そうとしても尿は全く出てきません
そこで上島さんは泌尿器専門の病院で徹底的に異常を調べてもらうことにしました
膀胱炎の有無はもちろん超音波エコー検査などで腎臓など膀胱以外にも異常がないか詳しい検査を行ったのです
その結果は「腎臓や膀胱時代には問題はないのですが尿に炎症反応がでていますので、やはり膀胱炎でしょう」でした
年齢と共に膀胱炎を繰り返してしまうことは珍しくないそうです
今回も処方されたのは抗生物質。こうして薬を飲んでいる時は症状が治まるのですが1か月も経つと膀胱炎の症状は現れてしまいます
そんないたちごっこを繰り返しながら処方された抗生物質を飲み続け、何が原因なのかわからないまま上島さんは薬に頼るしか苦痛から逃れる方法はありませんでした
最初の症状から5年、謎の膀胱炎を繰り返し憂鬱な暮らしを続ける上島さんにさらなる異変が襲います
いつものように用を足していたときのこと、尿が出た瞬間尿道を針でチクッと刺されるような鋭い痛みを感じました
残尿感だけでなく痛みまで伴うようになってしまったのです
処方された抗生物質を飲み続けても一向に効果はありません
そればかりか痛みだけでなく残尿感も以前より強く表れるようになりました
薬すら効かなくなってきた膀胱炎に大きな疑問と不安を感じ始めた上島さん
泌尿器科以外の診療科にも診てもらおうとドクターショッピングを繰り返し、内科→婦人科そして最後は精神科にまで通ったのですが診察の結果は「異状なし」でした
結局は泌尿器科で処方される抗生物質に頼らざるを得なかったのです
【原因不明で10年も悩まされた尿トラブルをベストドクターが解決!】
こうしている間にも薬の量は増え続け10年近くも抗生物質を飲み続けるという異常事態に陥ってしまいました
そんな上島さんに一条の光が差し込んだのは病院の予約時間を間違えたことからでした。午前に診断だったのを午後だと間違えてしまったのです
このころ上島さんは病によるしょうすいから注意散漫になることが増えていました
しかしこの間違いこそが上島さんを助けることとなります
時間を間違えたことにより、いつもの医師ではなく大学から派遣された非常勤の医師に診察をしてもらうことになります
これまでの症状やいきさつを事細かに上島さんから聞き取ったその医師は最後に「それだけ調べてもわからないという事は何か特殊な原因なのかもしれません」と告げたのです
そして大学の泌尿器科で世界的なドクターもいると説得されて上島さんは泌尿器科を率いるリーダーのベストドクターと出会う事となったのです
ベストドクターの特徴は自ら超音波エコーを使い患者の身体の中を調べ上げることにありました
通常は検査技師や看護師が扱うことの多い超音波エコーですが、先生は医師としては珍しく自分の手で検査を行い今まで1万人以上の患者の不調を見つけ出してきた、まさに先生は超音波エコーのスペシャリストなのです
河内先生の診断は次のような物でした
「残尿感が始まったのはいつからですか?」
「10年前からです」
「10年も抱えていらっしゃったんですか、でその間は抗生物質で?
「はい飲めば良くなるんですが時間が経つとまた悪くなるの繰り返しで…」
「なるほどその後痛みが出たわけですね、痛みはおしっこをする直前ですか?それとも直後ですか?」
「おしっこをした直後です」
先生が大事にしているのは患者さんに先入観を持っていない初診での問診
ひととおり話を聞き終えた第一印象は典型的な膀胱炎の症状というものでした
やはりここまでの問診では別の病の姿をとらえることはできません
そこで先生が取り出したのは超音波エコーです
徹底的なエコー検査によって膀胱はもとより腎臓や尿管など身体の内部に異常はないのか探り当てようというのです
まずは腎臓の状態から
腎臓に炎症や結石ができると膀胱炎を引き起こすことがあるのですが、異常は見当たりません
そこで次のターゲットを腎臓から膀胱に向かって伸びている尿管に絞りました。しかし尿管にも異常はありません
そして最後に症状が出ている膀胱にエコーを当てました。そこでも問題はありません
そこで先生は何か聞き逃したことがないか問診をもう一度おこなうことになります
「排尿の時に痛みがあるとの事でしたが、他に何か変わったことはありませんか?」
すると上島さんは「いえ・・・特に」と一瞬 口ごもったのです
「おしっこの話をするのは恥ずかしい事かもしれませんが、できるだけ包み隠さずに正直に言ってください」
「あの・・・実はおしっこをする時におならのようなガスが出る時があるんです」
痛みもなく恥ずかしいため上島さんはこれまでこの症状を医師に話した事はありませんでした
通常、膀胱炎では排尿中に尿道からガスが出ることはほとんどありません
そこでもう一度 膀胱にターゲットを絞り、脳裏に今まで診てきた何千何万という膀胱のエコー画像を思い浮かべどんな異変も見逃さないと目の前の画像と照らし合わせていったのです
健康な人の膀胱のエコー画像と比べてみても全く違いがわかりません
しかし先生は画面に映し出された膀胱の中の左上にわずか数ミリの小さな白い点があることに気づいたのです
専門医でさえ見逃してもおかしくないような小さな点に違和感を覚えた先生はエコーを当てたまま横になるように指示
するとわずか数ミリの小さな点が一斉に動き始めます。膀胱の中を浮遊する粒上の異物でした
ようやく見つけた1つの手がかり。そこで先生は膀胱の中を直視する膀胱鏡というものを使って検査をします
どうぞ
通常は膀胱の内部はこのように澄んでいて視界が開けているのですが彼女の場合は膀胱の中が小さな浮遊物で濁っていたのです
検査を終えた先生が指示したのは膀胱のCT撮影ではなく大腸のCT撮影でした
そしてCTを撮影した結果ついに上島さんを苦しめ続けた残尿感の真犯人が明らかになります、それは膀胱炎ではなく「大腸憩室炎」という名前の病気でした
【病名 「大腸憩室炎」とは】
大腸憩室炎とは腸の壁の一部がなんらかの原因で風船のように袋状に飛び出してしまい、そこに便などが詰まって炎症が起きる病
便秘の人や腹圧が弱る高齢者に多く発症し推定患者数はおよそ230万人にも上り、さほど珍しい病ではありません
しかし上島さんの場合は憩室炎が起きた位置が大腸の中でも膀胱と隣り合ったS状結腸といわれる場所のある一部分。憩室炎の1万件に1件あるかないかという珍しいケースでした
炎症が大腸の内側から外側へ。やがてなんと膀胱へと広がり結果腸と膀胱の一部が癒着
その癒着から腸と膀胱に穴が開きつながってしまったのです
その穴から膀胱へ侵入してきたのが大腸にあるはずの便でした
超音波エコーや膀胱鏡で見えていたあの小さな異物こそ膀胱に侵入してきた便
「おしっこをする時におならのようなガスが出る時があるんです」と語った症状は大腸から排出されるはずだったおならが尿とともに出てきたものでした
便が絶え間なく膀胱内に入ってくるため、どんなに抗生物質を飲んでも雑菌が繁殖し続け何度も膀胱炎を引き起こしていたと考えられるのです
このまま放置していたら大腸や膀胱のえ死が進み、命の危険を招く可能性すらありました
手遅れとなる寸前上島さんは河内先生らの手術によって膀胱と大腸の癒着を切除。一命をとりとめました
さすがベストドクターということでスタジオは先生の素晴らしい診療に拍手が沸き上がりました
「エコー検査でそういうのがわかってても直接結びつける人ってのはそんなにいないでしょう?」
河内先生「そうですね。やはりポイントは尿におならのようなものが出るというところですね」
患者さんとしては恥ずかしい事でも言った方がいいという決断になりました
10年以上も苦しめられた症状はおしっこの時におならのような臭いにおいがすると言っていれば、もっと早く解決したかもしれませんね
今回のベストドクターである河内先生が番組で夜間頻尿についての解決策も紹介していました
気になる方は下記の記事をどうぞ!